【文書廃棄の事故事例】台車で運搬時に散乱
溶解処理の「運搬時のリスク」だけではない
昨年12月に我々の業界の老舗的な企業で、文書廃棄サービス提供時に事故が発生しました。溶解処理における一連の作業の中で発生した事故なのですが、過去に紹介等を行ってきたのは溶解処理時の車両での運搬時でした。
しかし今回の事故は「台車での運搬時」に発生した事故。
こちらがプレスリリースです。>>個人情報の事故に関するお詫びとお知らせ
事故の経緯
いつかこういう事を起こす業者が現れるとかも、、と懸念をしていました。
写真のような状態で処理に出してもらえたらあまり問題を感じませんが、私も現場作業を行う際、お客様から保管倉庫に案内され、中に入ると対象の文書が裸のまま山積みされていることが多くあります。
今回が「裸のまま運びだした」のか「段ボールに入っていたが、封がされてなかった」のか、はたまた「梱包がされていたが、落下させてしまい散乱した」のか、どのような状態だったかは不明ですが、台車で運搬時に散乱をさせ、後に「すべてを回収した」このように報告されていたようです。
しかし、後日周辺住民より書類を見つけたと連絡があり、インシデントをあげる結果に至った。
この会社は機密文書の保管業務を昔からされている老舗の会社で、溶解処理においてもかなり長い歴史をお持ちの会社です。機密を扱うことを本業とされており、きちんと仕組みを作って業務をされていたと思います。それでも事故は発生したのです。
当日事故を起こしたスタッフがどういう方かは全くわかりませんが、それだけ「人の質」が大事だという証明だと思います。
梱包の重要性
話を戻しまして、私も保管倉庫で「裸のままの書類」に遭遇することがあると申し上げましたが、お客様が対象の文書を「廃棄物」と捉えているか、「機密情報」と捉えているか。この考えによって変わってきます。やはり廃棄物と捉えれば雑な扱いになってしまいます。
しかし、私どもにとっては「機密情報」となりますので、弊社は全て容器を持参し、梱包をしてからしか運び出しません。台車に関しても単に載せて運ぶだけではなく、高く積む場合はゴムをかけて荷崩れを起こさないようにまでして運びます。
当然、シュレッダー車まで書類を持参されるケースも同じです。裸のまま持参されるケースも多々あります。その場合も容器を用意して、その中に入れてもらい、封をするようにしています。
そこまで気を付けないとこのような事故に遭遇する可能性が残るのです。
もし、この記事をお読みの方が文書廃棄の担当をされる方であれば、「必ず梱包をして業者に出す。」この事を行って下さい。何故ならば、セキュリティの事を十分に理解して処理や運搬にあたっている業者が私が見受ける限り少ないからです。
業者を信用するな。
そこまでは言いませんが、この事故はそこまで言わせるような事故です。今一度、自社のセキュリティ体制に置き換えて検討をしてみては如何でしょうか。
事故の確率を下げるには
溶解処理をする限り事故の確率は一定の確率で残存します。我々のようなオンサイトのシュレッダー処理でも、今回のような台車での運搬のリスクまで入れれば0%とは言えません。
では、その確率を0%に近づける術は。
今回の事例を踏まえて考えると、
①段ボール箱等に梱包をする。
はだかで出すのは絶対にダメです。
②段ボールには適量を入れる。
段ボールに入っていても蓋が出来ないほど入れていることも多くあり、飛散に繋がる危険性がある。
③段ボールは必ず蓋をする。
万が一の場合もあります。ガムテープで必ず止めて下さい。
あとは、業者がいかに丁寧に搬出作業を行うかです。
雑な仕事をする会社かどうかをチェックする必要があるでしょう。
次に、処理を行うスタッフがどんな知識や意識を持っているかを確認する。作業員のセキュリティレベルです。これが低ければトラブルの可能性がUPするということにつながります。
その他は、根本的に処理方法を「溶解処理」から「オンサイト処理」に切替える。
どこまで真剣に考えるかですが、事が起こってからでは遅くなります。これを機に是非お考えを頂ければと思います。
文書廃棄を業務としている会社のほとんどが本業ではありません。ですが、問題を起こせばプレスリリースが必要な社会問題となります。処理業者は従業員のセキュリティ教育を重要課題として取り組むべきと思います。しかし、何を教育すればいいのかが分からないのが実情なのかもしれません。